チて程よく美しい花の絵などを描いて、そうやって四十過ぎになっても三十前のように綺麗で色っぽくてさ、まだ恋愛の一つや二つはいたしましょうと言う――
ベルト よござんす。たんと皮肉を言って、おからかいなさいまし。
ロート からかうなどとは、とんでもない。うらやんでいるんです。ゴーガンなら皮肉を言うでしょうが、私は、うらやましい。ゴーガンは土人だ。私は地獄に落ちたウジ虫でね。このまま、バイドクと脳軟化とアルコールでグジャグジャと腐って行くことが残されているだけだ。「淫婦のごとく、脚空ざまに投げ出して、血にたぎり毒素を放し、しどけなくふてぶてしいザマをして、悪臭みてる腹をひろげて横たわる」うまいことを言やあがるボードレールと言う奴は。「悪臭みてる腹をひろげて横わる」
おかみ (売台の所から)ねえお前さん、ちょいと――(声が大きいので、こちらの話はやんでしまう)
タン ……え、なんだね?
おかみ このお客さんがねえ、このりんご、一つだけ売れないかとおっしゃっているんですけどねえ?
タン うん?(そちらへ行きながら)りんごを一つと言うと――?
おかみ これさ。セザンヌさんの、この――(カンバスをこ
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