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ルノウ いんごうなことを言ったようで、すみませんねえ。いいんですかあ? そんじゃまあ……助かりますよ、こいで。
ヴィン テオ、すまない。……
テオ なに、もう少し早くなにすればよかったんだが、なにしろ、僕もこれできまっただけの月給で、目下ギリギリ一杯なもんだから。間もなく、店の支配人にしてくれるらしいから、そうなれば、もう少しなんとか出来るから。
ルノウ 支配人ですって? 結構ですねえ。どんな会社におつとめで?
テオ グービル商会と言って、ギャラリイを開いて、この、絵を商っています。
ルノウ ギャ、ギャラ――へえ、絵をね? どうれ[#「どうれ」に傍点]で、兄さんが絵かきになろうと言うんですね。兄さんがセッセと描いたのを弟さんがセッセと売るんだね? へえ! よっぽど、この、絵なんてえものは、利廻りの良いもんですかねえ?
テオ (苦笑)いえ、それほど良いわけでもない――

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そこへ、ドアにガタンと音がして、外から、身体ごとぶっつけてドアを開けてフラフラと入って来るシィヌ。片手にヂンの瓶をさげている。
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