うと思う。(椅子から立つ)私はブリュッセルに帰って直ちに、あなたを解職するような手続きを取ります。さようなら、それでは――(戸口の方へ歩き出す)
デニス やい、やい、やい! くそ坊主め、よくも言ったな! 犬のような労働者だと! おおよ、犬だ俺たちあ! おめえたちから、犬にされてしまった坑夫だ! 犬には教会は要らねえんだ。神も坊主も要らねえんだ。くそでも喰え! 俺たちにや、人間が居りゃ、たくさんだ。真人間が居てくれりゃ、たくさんだぞ。ここの先生は、俺たちのために、食うものも食わねえで、何もかも俺たちに投げ出してくれてる、真人間だぞ! 見ろ、この人のザマを! こんなザマになって俺たちに良くしてくれてんだぞ! お前みてえに食い太ったインチキ牧師なんかに較べりゃ、先生はキリストだ。へいつくばって、足でも舐めろ、畜生め!
ヴェルネ デニス! おい、デニス!
ヨング (冷笑して)よろしい。それでは、あんた方は、あんた方のキリストに救ってもらうがよい。(ユックリと戸口から出て行く)
デニス くそ!(ヴィンセントに)あんたも、あんまりおとなし過ぎるじゃないか、先生? あんなインチキ野郎、もうすこし何と
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