Aこの女の乳の上にのせると、熱が引いて静かになりウトウト眠れた。それを、この畜生は、ただ一時の欲情だけで俺から取り上げるのか? こいつは俺の作品にいちいちケチをつけては、絵を描いて行く落ちついた気分を取り上げた。しょっちゅう議論を吹きかけては、俺の頭をメチャメチャに引っかきまわした。あんまり酒を飲むな、タバコを吸うななどと、したり顔して忠告するようなフリをして俺の生活から空気を取り上げた。まだ取り上げたりないのか?
ラシ (立って来て、ヴィンセントの首に手をかけて)どうしたのフウ・ルウ? また、絵を描きに行ってたの? 冬の間ぐらい、ちっと休みなさいよ。ごらんなさい、こんなに痩せちゃった。今日もまた何にも食べていないんでしょ? 私三角パンを買って来たわよ。(テーブルの所へ駆けもどってパンを掴んでゴッホの方へ行き、握らせる)お食べなさいよ。
ヴィン ……。
ヴィンセントの声 (ますます早口で)嘘をつけ、淫売め! 今お前はこの男と何をしていたんだ? 俺をナメて馬鹿にしても、その手には乗らないぞ!
ラシ どうしたの、黙りこくって? ね、フウ・ルウ、今あたしポールさんに頼んでたのよ、アルルからど
前へ
次へ
全190ページ中153ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング