ト、君、どれくらいになる?
ラシ この冬でそろそろ一年になるわ。
ゴー どうだ、田舎に居るのと、今の商売と、どっちが良い?
ラシ そりゃ、今の方が良いわ。田舎に居ると、おっ母さんには始終ガミガミ言われるし、綺麗な着物一つ着られるじゃなし、第一食物があんた、肉なんぞ一週間にせいぜい一度、チーズもない時があるのよ。ここだと、肉は毎日、お客さんが葡萄酒は飲ましてくれる――
ゴー 飲ましてくれる代りにゃ、それぞれチャンとお相手をつかまつらなきゃなるまい?
ラシ それだって、暮しを立てる仕事だと思やあ、それほどつらくもないわよ。だって、どこに居たって、どっちみち私たちみたいな身分では、自分の身体を使って食べて行かなきゃならないもの。田舎では私もおっ母さんも大百姓の家へ日雇いに出て働いていたのよ。同じことじゃない?
ゴー ふん。
ラシ そりゃ、今のお店、時には、つらくないことはないわ。でも仕方がないでしょう? だから私、なんにも考えないことにしているの。馬鹿だと思ってんの、人間なんて。自分もお客さんも。だから、いっそ面白いわ。ただ、兵隊のお客さんだけは嫌だわね、乱暴で。
ゴー また、よく来るなあ、
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