、なすった、こんな所で眠ったりして? おやおや、イーゼルも何も、ひっくり返して!(言いながら助け起す。実際の「製作へ」の中に描かれているのと同じナッパ服にムギワラ帽のヴィンセント。気を失って倒れていたもの)
ヴィン うん? ……(ボーッとして、自分がどこに居るかわからない様子)
ルー どうしました? 気分でも悪いかね?
ヴィン ああルーランさんか? ええと――
ルー もう間もなく日が暮れますよ。さあさあ、いっしょに帰りましょう。おやおや、せっかくの絵があなた、砂だらけだ。(くちこごとを言いながら、絵の道具をまとめてくれる)
ヴィン すまない。つい、寝込んでしまって――(やっと我れに返り、頭をブルブル振り、痛むと見えて額に手を持って行く)
ヴィンセントの声 (観客の背後から)眠っていたのではない。気を失って倒れていたのだ。……俺はこの風景をセッセと描いていた。ゆうべのアブサンがたたって頭が少し重かったには重かった。しかし、俺はいつもカンバスに向うと、すべてを忘れてしまう。今日も描き進むうちに頭の痛いことは忘れてしまっていた。絵はうまく行きそうな気がした。そのうちに、ヒョッと風が吹いて来た
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