もりです。あなたがたもたぶんそうしてくださることと思います。あなたがたと私どもがその点で心と力をあわせて努力すれば、それはかなり効果があるはずです。
 しかしそのこととは別に、現在の世界の諸国家間の緊張した関係は、私どもをして理想主義的な平和運動の境にとどまらせておいてくれない。われわれは現実を見ざるをえないし、必要とあらば現実にふみこんでいかざるをえない。諸国家の国民のだれもが戦争を望んでいないばかりでなく、その大多数が戦争を心から嫌悪しているにもかかわらず、現在の現実では、戦争は起きてしまうかもしれないのです。
 この矛盾のこっけいさは、今となってはグロテスクになってしまった。しかしどんなにグロテスクであっても、われわれはこれを認めないわけにはいかぬし、それに対処しなければならないのです。
 あなたが[#「あなたが」はママ]アメリカ人が好戦的な人たちだとは私は思わない。ソビエットの人びとが好戦的であるとは思わないのと同様に。にもかかわらず、あなたがたは今後戦争をするかもしれない。このようなことを言ってみるだけのことさえも恐ろしく悲しいことだが、言わないでは話がハッキリしない。そして
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