あたえたくない。だのにこんな質問をあえてするわけは、それはどうしてもしなければならぬ質問だからです。私は八年間、言いだすのを控えていましたが、しかし結局はどうしても言いださないではいられない。そういう欲望と同時に必要があるのです。私だけにとって必要であるばかりでなく、私とあなたとの今後の関係にとっても絶対に必要な質問であると思います。だから質問の結果、一時的に多少あなたを不快にさせたりするかもしれないと心配しながらも、言いださないわけにはいきません。そしてたぶん最後まで読んでくださればわかってもらえるであろう――そういうつもりで、言いだしてみるのがよいと私は考えます。
 それに、これを言いだしてみるということそれ自体が、私があなたがたを人間として信頼している――すくなくともある程度までは――ということは、私の質問の表面的な不愉快さにたいする反感のために、この質問を持ちだそうと思った私の真意までを曲解なさるほど不公正な人間であなたがないと、私が思っているということです。
 そこで、私の質問はどんな質問かといいますと、原子爆弾についてであります。もっとくわしく言うと、原子爆弾とあなたがたが
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