慮している余裕なく)俊子! 気をつけて! 気をつけて行くんだよ! 治子さんから離れないで――いいかい、頼んだよ!
俊子 いいわ、あの――(よく見えぬ眼で、なんどもうなずいて見せる)
治子 友吉っあん! 私、あの――(セキこむ。苦しそうである)
私服A よし! 頼むよ。(と既に、運転台の方へ廻っている警官に言い、自分もトラックに乗りこむ。私服Bも乗りこむ。スタートするトラックのエンジン。と同時に、高架線路の一方の方から、グワーッと近づいて来る列車のひびき)
友吉 たのんだよ! 俊子! 気をつけて! 治子さん、あのね、僕は、あなたを、あの、――気をつけてください! あの――(とトラックから乗り出しそうにして治子と俊子に呼びかける。私服Aが、そのエリクビを掴んで、力一杯に引きもどす。友吉は、からだが弱っているので、浮浪者たちとインバイとスリのまんなかに、たたきつけられたようになる)
若い女 いたっ!
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(グワーッと列車が迫って来る。友吉は、起き直って、俊子と治子に大声で呼びかける。しかしその声は、列車の轟く音にのみこまれてしまって、全く聞きとれない。……友吉、口に両手を
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