や」]、どうしたんだ?(ポケットから、懐中時計や腕時計を五つ六つ取り出して見せる)
貴島 だから、知らねえよ。ヘッ! その人のふところから、そんなものがゴマンと出ようと、俺が知ってなきゃならねえ義理はねえでしょう?
私服B ハハ、よかろう。向うへ行って聞こう。どっちせえ、大した事にゃならんよ。
貴島 あたりまえでしょう、大した事になってたまるもんじゃねえよ。あったり、まえ、でしょうっと[#「でしょうっと」は底本では「でしょうつと」]、ヘヘ、ねえ!(と私服Aに)今どきの東京だ、ツイたまたま電車をなくしちゃってさ、一泊旅館に泊っただけで、天下の公民が、大した事になって、たまるもんですかよ、ねえ!
私服A (その相手にはならずBに)こんだけだね?
私服B うん、あとはいいだろう。キリがない。
警官 (友吉をアゴでさして)これも?
私服B (手錠のために、うまくトラックにのぼれない貴島の尻を押し上げてやりながら)常習のスリだ。ちかごろじゃ、おかしなブロウカアなどもやっているようだ。そいつは初めての顔だが、組んでやってるらしい。まあ、子分かな。(いわれて友吉はオドオドして警官や刑事たちを見まわし
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