突いたまま、混乱して、人見を見たり木山を見たりしながら)あの、それは、おたがいに、許して――あの、許し合ってです! おたがいに人間どうしなんですから、許し合ってこの――(人見に、あわれみを乞うように目を上げて)先生、治子さんを許してください。治子さんは、ホントに、良い人なんです。治子さんは、今、ひどい生活を――あの、ダラクしようとして――僕もハッキリとは知りませんけれど、あの――許して此処へ引き取ってくださるように――
人見 そりゃ君、君からいわれなくっても、妹なんだから。しかし、あれは――(困って、不快そうにわきを向く)
友吉 お願いです!(救いを求めるように、木山を見あげて)そうなんです! 手を引いてください! その、武器を取らぬ戦争――それが、今のままでズーッと行くと、きっと武器を取ることになります! 新聞にも、米ソ戦争などという文句が出ています! やめて下さい! 争うのを、やめて下さい! あなたがたも、ソビエットも、お願いです、今のようなやり方を、どうぞどうぞ、よしてください! アメリカにお願いします! ソビエットにお願いします。両方とも、ケンカをやめて下さい! 両方で、もっと仲良く話し合って下さい! 私どもを恐ろしい所へつれて行くのは、こらえて下さい! そのために、私の命が入用なら、私を殺してください。神さまを、そのために、引きずりおろす事が必要ならば、神さまを引きずりおろして下さい! お願いです! 武器を取ろうと取るまいと、戦争は、戦争だけは、もう、どうかやめて下さい! この通りです、どうかどうか――!(昂奮の極、オイオイと声をあげて泣き出している)あの、先生も、そいから、あの、両方とも……(まだ何かいいつづけているが、泣き声になって聞きとれない。その、いじめられた子供のように、みじめなコッケイな姿)
小笠原 プッ、ホホホ、まあ! ホホ!(とうとう、ふきだしてしまう。竜子も釣られて笑い出すが、しかし眼は、いぶかしそうな、びっくりした色を浮べて友吉を見ながら。人見は時々ニヤニヤしたり、額にシワをよせたり、複雑な顔で、クリスマス・ツリイの下の方にゆわきつけた銀色の星に眼をやっている。木山だけが、まじめな顔をして、友吉を見つめている)

        11[#「11」は縦中横]

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 つんぼになる程のもうれつな地ひびきを立てて、頭上を通
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