てくださいました事を。このような兄弟を、私どもに再びおつかわし下さいました事を。……平和が、今後永久につづきますように、願わくば、……(あと、まだ祈る)
小笠原 ……(それを引きとって)アーメン!(昂奮して涙ぐんだ顔を輝かしながら、元気よく立ちあがって)……さあ、今夜でスッカリ飾りつけをすませましょう[#「すませましょう」は底本では「すませましよう」]。明日は日曜学校の生徒さんたちの準備だし、その次ぎの次ぎの日はクリスマスですものねえ……もっとおそくまで居れるといいんですけど、ちかごろ、郊外の方はぶっそうでしてねえ。おどろくじゃございませんの、ホンの二、三日前の晩に、私の内のすぐ近くで、追いはぎと、そいからあの、乱暴された女の人が、一晩に三人もありますのよ。それに近頃では強盗が押し入るんでも、ゲンカンから、堂々とアイサツをして来るそうですわ。ホントにまあ、日本は、なんという事になったんでございましょうねえ、恐ろしゅう[#「恐ろしゅう」は底本では「恐ろしゆう」]ござんすわ、それを思いますと。
人見 そうですね。……いや、もうこれだけやっていただけば、あとは私がボチボチいたしますから。それに明日あたり、ほかの会員のかたも見えて下さることになっていますから。(それまで、窓の外から、のぞいていた顔が、見えなくなっている)
小笠原 はあ、いえ、まだいいんですの。(と再びデコレーションにかかる)此処だけ、やってしまっておきます。……先生、あの、お妹さまは、ちかごろいらっしゃらないんですの?
人見 はい、ちょっと――
木山 いもうとさん、先生に有りますか?
人見 そう、木山君は御存じなかった。ええ――治子といって、今、ちょっとほかへ行っております。……(妹の事を語りたくない様子で、再びセッセとクリスマス・ツリイの飾りつけをはじめる。木山も)
小笠原 ……(手を動かしながら、奥の方へ呼びかける)原田さま、まだ? お手伝いしましょうか?(奥からは、返事がない)あのカン切りでは、ダメかも知れませんわよ先生? なんしろ向うのカンヅメは、シッカリできているんですから。
木山 では、私が開けてあげましょう[#「あげましょう」は底本では「あげましよう」]。(気軽に奥の方へ行きかける。そこへ、若い洋装の原田竜子が、切り開いた大型の四角のデセールのカンと、大きな西洋皿をかかえて、急いで出て来る。背
前へ
次へ
全90ページ中75ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング