で左翼の闘士みたいな調子で気勢をあげているけど、ホンのこのあいだまで、つまり戦時中は、連中、ほとんど全部、いや、今鼻息の荒い連中であればあるほど、終戦まで、打ちてしやまんとかでカンカンになっていたんだから。現に司会者をやっていた岡本さんなど、戦争中は旋盤の方の推進隊長をやってて、ずいぶんガンガンやったんだからね。へんだと思うんだ。そりゃ、あんとき話に来ていた細田なんて人は、どんな事いったって変な気にゃならんけどさ、ほかの連中はみんな、なんじゃないか、現に、戦争中、君の事件が起きると、まるでキチガイのように君をいじめたろう? 君だけじゃない、死んだ明君だって、ずいぶん、みんなからひどい目にあったんだ。僕あ、この目で見てる、明ちゃんがああして、行かないでもいい小笠原なぞへ行って、アッケなく戦死してしまったのなんかも、みんなからそういう目にあわされたヤケが半分以上手つだっている。――そんな目に君たちをあわした同じ連中が、いくら、今こうなったからといって、人間ならだ、人間らしい気持をちっとでも持っていたら、こないだみたいに、君を笑いものに出来る筈はないんだ。……(友吉が、返事をしないで時計をいじっているので、言葉をつづける)……もっとも、なんだね、連中にとっては、君から何かチョットいわれると、いや君の姿を一目見さされただけで、てめえの、そんなような戦争中の姿を思いださされる、つまり、てめえの恥知らずな姿を――つまり、てめえにも見たくないものを、鼻の先に突きつけられるような気持がするんだな。だから、君に対してなおのこと、腹を立てたり、あざ笑ったりするんだよ。俺にゃ、そこいらが、よくわかるんだ。……日本人は、キタネエよ。……そう思うと、もう、イヤにならあ。
友吉 ……でも、世の中がこんだけ変ってしまったんだから、それにつれてそれぞれの人がいろんなふうになるのも、しかたがないんじゃないかなあ。
北村 そりゃあね、人の事ばかりはいえない。俺だって自分の事を振返ってみて、オヤと思う事があるものだから、連中の事だけじゃないんだ、自分もだよ……つまり自分も人も、見ていると、なんだかキマリが悪くなってしまって、どいつもこいつも、トウテイ救われねえという気がするんだ。……みんな死んじまえという気が、ホントにする時がある。……いやね、君も知ってるように、俺あ以前から、どっちかというと社会主義や
前へ 次へ
全90ページ中62ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング