くなったね。地金がまるきりヨタなんだ。会社でこさえていても、それ考えるとイヤになるよ。廻っているのがフシギさ。ハハ。(ポケットからガラスビンを出して)そいから、キハツをすこし。
友吉 だけど、そんなに――いいよ。この前のキハツの代もまだ払ってないし。
北村 いいじゃないか。だって、もうないんだろ?
友吉 ないにゃないけど――
北村 じゃ使えよ。修理をやるったって、部品やキハツなしじゃ、やれやしないじゃないか。なにどうせ僕だって買ったもんじゃなし。
友吉 悪いよ、だから。会社の物をそんなに君――困るなあ、僕。
北村 クスネて来たんじゃないんだよ。会社では近頃、請負の方の仕切りが、とても悪くなっているんで、その代りに余分の部品や、キハツのすこしぐらい、部長の責任で、仕切の歩合いとして持ち出していいことになってるんだよ。どうせ一時の事だろうが、そいつを外で売って、そいでしのいで行ってくれというんだね。
友吉 そうかねえ。しかし、それなら尚のこと、僕んとこなぞに廻しちゃ、大した金にはならんのだから――
北村 なに、僕は一人ぐらしだし、なんとかやってるから、大丈夫なんだ。
友吉 ……ありがとう。じゃ借りて――仕事して金が入ったら、あの、なにするから。
北村 いいんだ、いいんだ、いつでも。……おばさんよく眠るね?
友吉 うん、クスリをのむと、あと二時間ぐらいグッスリと眠るんだ。
北村 (のぞきこんで)なんだか、又、やせたようじゃないか?
友吉 ……食べるものを食べないもんだから。……いやいや、それくらい有るんだよ。有っても食べない。断食するんだといって――どうも。
北村 サチャグラなんとか――だろう?君のケイサツでの断食のことが頭にコビリついてしまったんだなあ。
友吉 ……(泣くような微笑)――そいで、眼がさめると、すぐに、なにか食べさしてくれ。で、食べる物当てがうと、食わない。――弱るよ。チンセイザイで、こうして眠っていてくれてる時だけホッとするんだ。俊子など、泣かされてばっかり居る。……
北村 ……(あんたんとして、しばらく黙っていてから)――俊ちゃんは?
友吉 ありゃ、修繕の注文をとって来るんだといって――
北村 え? あの眼で?
友吉 よせといっても、きかないんだよ。僕が廻っていると時間をとられて、かんじんの仕事ができないもんだから。
北村 どこまで、そいで――?
友吉
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