て行く。
旅客の殆んど降りてしまつた降車口から、恐ろしく風変りなツンツルテンの洋装で降りて来る女。
一六には初め、それとわからぬ。やがてスミを認めるが、その変り方の異様さに驚ろき呆れて、口を開けて見てゐる。双方見合つて永いこと立つてゐる。
○スミ、声を上げて泣き出す。一六をこづき廻すやうにし、しまひに、むしやぶり附いて行くスミ。
[#ここから10字下げ]
(めでたし、めでたし)
[#ここから2字下げ]
(附記)
――これは、久しい前に、こんな風な筋と匂ひを持つた話を書き度いと思つてメモしてして置いた草稿で、不満な点も多いし、それに各所の細部やダイアローグがまだ書いてない。ちやんと書き改めて発表すれは良いのですが、急な話で今その時間が有りませんので不本意ながら未完成のまま一応読んでいたゞきます。今後出来る丈け早く書き改めようと思ひます。特にもし誰かがこれを映画化して呉れる機会でも有つたら、その際ウンと補筆する予定です。(三好)
[#ここで字下げ終わり]
底本:「三好十郎の仕事 第一巻」學藝書林
1968(昭和43)年7月1日第1刷発行
初出:「シナリオ文学全集四」
前へ
次へ
全50ページ中49ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三好 十郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング