、なによ、組合がそう言って、みんな一時間ずつ[#「一時間ずつ」は底本では「一時間づつ」]早く起きるだ。
中年 ひゃあ……するちうと、ばさまなんど、今でも三時に起きてるの、どうなる?
百姓 二時に起きるべし。
中年 ひゃあ……どうも、へえ、かなわんなあ! ハハハハハ……そいから、ばさま、麦の供出の方は、どんな風にしやすかい?
百姓 麦かい? 麦あ、此処のを出すよ。
中年 何俵だ?
百姓 十二三俵も有るづら。
中年 へえ、すると、此処の、みんな出すのか?
百姓 みんな出しちゃ、そっちで困るかえ?
中年 こっちは困るだんじゃ無え。ばさまの内で困るべえ?
百姓 あに、オサキの畑で五六俵取れるから、此処のは内じゃ当てにして無え。
中年 へっ! なんせ、俺達あ、もうかなわねえよう! 好きなように勝手にさっし! へえ、とんだばさまだあ!(良いキゲンでわめき散らしながら、小走りに消える)
百姓 ハハハ……(手を動かすのはやめない)んでも、へえ、感心なもんだあ、……ああして忙しい中を駆けずり廻って村の世話あ焼いてる。……あねえな仁が居るから、この辺も何とか、かんとか、へえ、やって行けらあ。もとは、あれで
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