げ終わり]
[#地から3字上げ]夏目金之助
     高浜清様
      ○
明治四十一年一月十日(封書)
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 昨日は失敬。「班女」には大弱りに弱り候。さて本朝本間|久《ひさし》と申す人別紙原稿をよこし『ホトトギス』か『中央公論』へ周旋してくれぬかとの依頼故、まず以て原稿を供貴覧候。御気に入り候わば御掲載の栄を賜わりたく候。本人の申条に曰く。ある雑誌記者曰く、本間久は飜訳ばかりして創作は出来ぬ男だと。これに於てこの作ありと。即ち敵愾心《てきがいしん》の結果になれるものと覚候。原稿の価値は大したものにあらず少々物足らぬ様也。然し折角の希望故御紹介致し候。以上。
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   正月十日[#地から3字上げ]金
     虚子方丈下
      ○
明治四十一年二月七日(封書)
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 啓上 謡本五冊わざわざ御持たせ御遣わし御懇切の段感謝致候。小生万事不案内につき御仰の通り宝生先生と相談の上御指定のうちを願い可申候。今夜「班女」は少しにて済む事と存候。もし御都合もつき候えば御入来御両人にて一番御謡あらまほしく候。まずは御礼まで。匆々。
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