き被下度と存候。近来の漱石は色の出来ぬ男のように世間から誤解被致居り大に残念に候。以上。
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   四月十九日[#地から3字上げ]金之助
     虚子庵座側
      ○
明治四十年五月四日(葉書)
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「七夕《たなばた》さま」をよんで見ました。あれは大変な傑作です。原稿料を奮発なさい。先達《せんだっ》てのは安すぎる。
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[#地から3字上げ]夏目金之助
     高浜清様
      ○
明治四十年五月四日(葉書)
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「花瀬川」はものにならず。伝四先生何を感じてこの劣作をなせるか怪しむべし。
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[#地から3字上げ]夏目金之助
     高浜清様
      ○
明治四十年七月十七日(松山一番町池内方高浜宛)(封書)
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 啓 松山へ御帰りの事は新聞で見ました。一昨日東洋城からも聞きました。私が弓をひいた※[#「土へん+朶」、第3水準1−15−42]《あずち》がまだあるのを聞いて今昔の感に堪えん。何だかもう一遍行きたい気がする。道後の温泉へも這入りたい。
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