するの必要[#「下級の官吏とも親交するの必要」に傍点]なることを實驗せり」と書いてゐる。
ヅーフは策略ある人物だつた。名村、本木の二人を離間させ各個撃破するために、個々に呼びいれ、時計を與へたりして、これに成功してゐる。そしてこれは同時に通詞らの一般的性格を示すものかも知れない。さきに見たやうに庄左衞門ほどの人物が、ただ銀時計一箇に眼がくらんだばかりではあるまい。ヅーフにかかる策略をさせるところ、また通詞側にもそれに乘ずる特殊な空氣があつたのではなからうか?
岩崎克己氏は「前野蘭化」で書いてゐる。「和蘭通詞が通辯飜譯の外に和蘭人の行動を、殆ど箸の上げ下しに至るまで、監視することを職務としてゐたことは「ケンペエル江戸參府紀行」に見えてゐた通りである。從つて罹病した和蘭人が内外の治療、手術を受ける場合にも、彼等は通詞等の監視を免れることは出來なかつた」と。つまりこれも、家光以來の方針が、「通譯官」であり「商務官」である通詞らにいま一つ加へて與へたところの役割であつたらう。
通詞の食祿は尠い方ではなかつた。元祿八年頃で、大通詞銀十一貫五人扶持、小通詞銀七貫三百目三人扶持、小通詞並で銀三
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