陸ではみることの出來ない新らしい人々の集團と生活とに結びついた成果であり、グウテンベルグの活字をして過去三世紀には考へることも出來なかつた庶民の日常生活のなかへ、信仰と過去の知識と裝飾のみではない、今日と將來のための生々とした、しかも涯しないほどひろい大海原へ躍りださせたといふことにあるであらう。
 そしてそこにこそ第二期の活字が花ひらく要素もあつた。一七九六年、フイラデルフイアのアダム・ラメーヂが世界ではじめての鐵製のハンドプレスを作り、それと應へるやうにロンドンでも數學者スタンホープが「スタンホープ式ハンドプレス」を完成して伯爵を授けられた。一八一三年にはフイラデルフイアのジヨージ・クライマーが「コロムビア・プレス」を作り、一八二一年には紐育のラストとスミスが「ワシントン・プレス」を作り、一八二〇年にはボストンのダニエル・トリードウエルが世界最初の足踏印刷機を發明した。木が鐵にかはつたことや手が足にかはつたことは何でもないやうでゐて、じつは人間の動力といふものへの新らしい考へ方の發展がひそんでゐよう。そしてこのとき既にイギリス人ウイリアム・ニコルソンやドイツ人フリードリツヒ・ケーニ
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