つてすたこらいそいでゐたのを思ひだすだらう。
 そして當然通詞のうちにも新らしいタイプの日本人がゐたのであつた。ペルリの「日本遠征記」も一ばん自分たちに接觸の多い通詞をとほして日本人を判斷したやうに、ゴンチヤロフは、たとへば大通詞志筑龍太をもつとも古い型の「老廢化石した日本人の部類」と書き「吉兵衞はいくらか新鮮なところがある。彼は新らしきものに對する固陋な憎惡を持たない」が、しかし「彼は新らしきものを追及する氣力がない」と大通詞西吉兵衞について感じた。そしてこのロシヤの作家は森山、本木、楢林弟の三人に一ばん興味をもつて「――話の節々や――ヨーロツパ的なものを見るときに――榮之助、昌造、楢林弟などが、自己の位置を感知し、自覺し、憂鬱になり――」幕府役人たちの舊い理解に對して「――從順な、無言の反對派をなしてゐる」と書いた。
 昌造らがこのときどういふ風に活動したか、日本の記録でさがしてみたが、なかなかめつからない。「川路日記」などでは、彼の懷刀であつた榮之助が少し書かれてゐるが、充分でもない。しかもまだ「二流」の昌造などは公的な記録にはまるで出てこない。「日本渡航記」は榮之助の才氣横溢で
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