、何氣なく手にふれたその紙包をひろげてみたら、木片の文字がハツキリと紙に印刷されてゐるので、非常にびつくりしたといふ話。――
いま一つの※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話は、昌造の事蹟のうち今日も有名な語りぐさであるが、あるとき昌造は、購入した蘭活字の少しばかりを鍋で溶かすと、腰の刀をはづして目貫の象嵌にそれを流し込んでみた。やがて鉛が冷却するのを待つて、裏がへしてみると、目貫の象嵌は凹型になつてハツキリと鉛に轉刻されてゐるので、昌造は大聲を發して家人をよんだといふ話――である。
この二つの※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話は、東西を距ててどつかに共通するものがあるばかりでなく、後者は前者にくらべて、もつと意識的であることがわかる。コステルの場合は、偶然な木活字への端緒であるが、昌造の場合は、流し込み活字への豫期がある。しかも後者の※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話は、前者の※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話に影響されてゐる
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