如くに、繁昌となることは決してあるべからず」(日本交通貿易史)と、この一外國人は結論した。
「英國が最近時支那につきて施爲したる」とは、もちろん南京條約及び阿片戰爭の謂であり、「古世界中の云々」は、歐洲以外の基督教文化、若くは機械文明によつて近代化されてゐない國々を指してゐる。しかし私らはしばらく冷靜にして、この歐洲以外はすべて植民地視するところの一外國人の謂ふところをきいてみよう。シーボルトのこの觀察は、レザノフが長崎を去つて、ひたすら武力による日本遠征を企てた一八〇五―七年から三十餘年を距ててゐるが、そしていはば日本通商の特惠國オランダの出先役人であつたシーボルトの「將軍政治」への偏つた傾倒だつたにもしろ「古世界中」では最も發達したる國、無限の國家的信用をもつた國、石をもつて云々と比喩するごとき統一された國、「日本の住民が混淆なくてある間」は歐洲人も決してこれを征服することはできないといふ國。これらは「世界の旅人」フオン・シーボルトの十數年にわたる日本滯在のうちにつみあげられた觀察ではあるまいか。
 レザノフの觀察はそこまで至らなかつた。しかしレザノフはレザノフなりの見解をもつてゐ
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