監獄部屋
羽志主水
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)政府《おかみ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)算段|計《ばか》り
[#]:入力者注 主に外字の注記や傍点の位置の指定
(例)ビクビク[#「ビクビク」に傍点]
−−
(一)
同じ持場で働いて居る山田という男が囁いた。
「オイ、何でもナ、近けえ内に政府《おかみ》の役人の良い所が巡検に来るとヨ」
「エッ、本当かイ夫《そ》りゃア、何時《いつ》だってヨ」
「サア、其奴《そいつ》ア判ら無えがナ、今度ア今迄来た様な道庁の木《こ》ッ葉《ぱ》役人たア違うから、何とか目鼻はつけて呉れるだろう、何時も何時も胡麻化されちゃア返《けえ》るんだが、今度ア左様《そう》は往《い》くめエ、然し之で万一《もし》駄目だとなりゃ、此世は真暗闇だぜ」
「左様サ、何しろ役人位えにアビクビク[#「ビクビク」に傍点]為《し》ねえ悪党揃だからナ、今迄の木ッ葉役人は瞞《だま》かされたり、脅かされたり、御馳走されたりで追ッ払われたんだが、東京から大所が来ると成りゃ、今度ア、其手じゃア往かねえ、何しろ一日でも
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