なったし、ものの考え方も英語でするようになったのであるが、自分でほんとに考えてみると、はたしてこれだけで、身内に潜む希望を除けば、何が出来ようと、押えても押えても疑いが湧いて来る。
『赤手空拳ただ一片の希望あるのみだ。』
こう云って、ニュー・ヨークの鋪道に立った私だった。前からの打合せで、グランド・セントラルには、辰野が迎えてくれる筈であったが、都合で木元という男がその代理にやって来た。
『やア、辰野はどうしたかね?』
『その辰野は、どうしてもぬけられぬパーテーがあるとかで、僕に代理をしてくれと云うのでね。』
平和楼で、一度会っただけの木元であったが、先方は狎れ狎れしくあいさつして、さっさと人混みを分けて、どこかへ歩いて行く。
『どこへ行くんだね?』
『うむ、いったん僕の宿へ行ってめしにしようと思うのだが――待てよ、先に三沢に会うかな、その方がよかろう。これから五十七丁目だ、三沢っていってね、君にぜひ一度紹介して置きたい人間がいるんだ、ちょっと会ってくれたまえ。』
木元というのは、大柄で、手と足と別々に成長した人間のように、からだ中バラバラの感じのする男で、それで額がぬけあがって
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