うな人は、その吼えたける声を消すために、何かもっとおぞましいものに一生けんめい縋りつかなければなるまい。そうした事情を、単純な人間は実によく心得ているものだ。そこで彼らは、持前の素朴な野獣性を思うさま発揮して、馬鹿のかぎりをつくしだす自分を嘲弄し、他人を愚弄し、人情を冷笑する。それでなくても大して柔和な人間でもなかった彼らは、ここに至って二層倍も兇暴になるのだ。
* * *
「どうですね、おかみさん? あい変らず奥方さまには、ご機嫌うるわしくいらせられますかい?」――そんな鉄面皮な挨拶をセルゲイがカテリーナ・リヴォーヴナに向ってしたのは、ゆうべ泊った村がびしょ濡れの丘のかげにだんだん隠れて、ついに囚人隊の眼界から没し去った頃だった。
そう言うと、彼はくるりとソネートカの方へ向き直って、じぶんの外套の裾で彼女をくるんでやり、高らかな裏声でこんな歌をうたいだした。
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小窓のなかの 小暗いところで
亜麻色あたまが ちらつくよ。
まだ起きてるね わが悩みの種
眠られないのか にくいやつ。
裾ですっぽり くるんでやろ
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