なって、じぶんの寝板へ戻ってくると、ぐっすり眠ってしまった。
 眠った彼女の耳にはきこえなかったが、じつは彼女が戻ってきて暫くすると、ソネートカが廊下へ出ていって、そろそろ夜の白みだす頃に、こっそり帰ってきたのである。
 それはカザンまであと二丁場という晩の出来事だった。

      ※[#ローマ数字15、102−8]

 寒々と暗雲の垂れこめた日が、時おり思いだしたように吹きつける風と雨を伴なって、雪をさえちらつかせながら、息づまるような営舎の門をあとにした囚人隊を、剣もほろろに出迎えた。カテリーナ・リヴォーヴナはかなり元気な様子で出て来たが、隊伍に加わったかと思うと、たちまち全身わなわなと顫えがついて、まっ蒼な顔になってしまった。眼のなかはまっ暗やみになり、節々はうずきだして、今にもへたへたと崩折れそうだった。カテリーナ・リヴォーヴナの前に立っているソネートカのはいていたのは、例のけばけばしい側筋《わきすじ》のはいった、まがい方ないあの青い毛の靴下だったのである。
 カテリーナ・リヴォーヴナは、まったく生きた心地もないままで、その日の道中に出でたった。ただその両眼は裂けんばかりに
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