年経ちまして、ある雪の降る日に女房が私と歩いていた。フグの提燈が下っている。ボクはフグが大好きで、雪が降ると毎日食べていた。思わずフグ提燈を見ていたら、女房に、
「いかがです。今夜はフグを食べましょうか」
 と、いわれた。ホントにボクは心が温まる心持がした。家内というものはそういういたわり心というものが旦那としてはすばらしい魅力になってくる。子供に対する気持も、女房が子供のことを一所懸命やってくれる時がいちばんうれしい。



底本:「猿々合戦」要書房
   1953(昭和28)年9月15日発行
入力:鈴木厚司
校正:伊藤時也
2010年1月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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