あ、これからがストリップ台風が吹きまくるのですよ、部屋の唐紙をおさえていても駄目ですよ。陽気な風娘は飛びこんでシャツもパンツも吹き飛ばしてしまいますぜ」
 これは大変と尾崎士郎旦那ははや浮き腰、
「キミイ、これはまったく危険だぜ、早く逃げ出そうぜ」
 二人はあわてて廊下に飛び出した。
「アラ先生! 逃げるの、逃がさないわ」
 ともはや、はやてが吹いて来た。酒にたおれた風娘が階段の下、廊下の真んなか、ドサリ、ドサリ伸びている。
「しっかりしなけりゃ駄目よ――」
 と抱きおこす仲間の風娘もやわらかい乳房を重ねてぐったり伸びてしまうものすごさ。サット一陣、はやてがかけ降り、
「待てエー」
 と叫ぶストリップ台風、風速正に三十米、
「ソレ来た!」と、二人はだしで外へ飛び出しやっと一息。
「おい君、あのものすごい台風が静まるまでどっかで一つ飲みなおそうよ」



底本:「猿々合戦」要書房
   1953(昭和28)年9月15日発行
入力:鈴木厚司
校正:伊藤時也
2010年1月26日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora
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