いよいよ女護島の幕は切って落されたのである。社長を上座に、ぐるっと大円陣の前には酒さかなの美事な膳部がならべられ、自慢の肉体をお揃いの浴衣ににおわし膝をそろえた盛大さは、さながら女親分の総会もかくやあらんというありさま。
「さて皆様、いつも御無理をお願いするにもかかわらず、熱心に舞台を御つとめ下さいましてありがとうございます。本日はこのようなささやかなおもてなしでございますが、吉例によりまして皆さんと大いに愉快な舞台をはなれて楽しい一夜をすごしたいと思います。いつも皆さんは、裸にばかりなっておられるので今宵だけはどうか湯の街の綺麗どころの三味線がなりましても、大切に身体をしまっておいていただきたい」
……ヨウヨウそのかわり男性は裸になってサービスウ……と拍手が起る。
「どうかいつもきゅうくつにはめておられるバタフライを、今夜はおとりになって心おきなくゆっくりとおくつろぎ下さい。これは心ばかりの本日の贈りものですが」
と大入袋がめいめいにくばられた。
「お酒もビールも充分に用意してありますから、どうか不夜城のつもりで大いにやって下さい、そして、又明日から舞台で大いに色っぽいところをお客様にサービスをしてあげて下さい。では皆さん乾盃いたしましょう」
社長のあいさつと共に無礼講の膝小僧がくずれたのである。
美妓のお酌に盃は廻され、その飲みっぷりの美事なこと、赤い唇にグイグイと酒は流れ込む。早や上気してあつい息をはくのはナオミさん、髪をバッサリ振って眼もとを桜色にポーとさせたのはマヤさん、襟元がくずれて水色のシュミーズが顔を出したのがシルバーさん、皆さんどうも肉体に何かまとっているのは生れつき御気にめさぬらしい。
女性の飲みっぷりというのは、男性とちがってチビリチビリ味わうといった風でなく、まして今夜のように十八から二十一、二の娘盛りは酒に酔うという尺度なぞ決して考えに入れていない。いや、もーひやひやと心配になるのは私だけではない、お隣りの尾崎士郎さんも大切な器が碎けるのを見るようにひどく心配顔である。
浴衣一枚に紅のしごき、のぞき出た餅の肌はちらりちらり、紅に散って五彩の虹、さしもの大広間は花のこぼれるような酔女の群。どっと我慢のせきが切れてやわ肌は時ならぬうずきを見せてとろけるまなざし、一せいに男側をねめつけて、
ヤー ホー
とばかり立ちあがり、しどろに
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