エキゾチックな港街
小野佐世男
佐世保へいらっしゃるんですって、佐世男が佐世保にいくなんて、なんかおかしいですね――、オホホホホ。あなたさまは日本人でしょう、オホホそれならお行きにならない方がお幸せですわ。……雲仙の旅館の女中は手を振った……。日本人は相手にされませんよ、靴をみがこうとなさっても駄目駄目。
オホホホ、女の子ですって、それこそ鼻もひっかけませんよ。それは北海道の果からも美人がおしかけておりますけれど、あきらめなさった方が、およろしいですよ、なにも佐世保ばかりが女の都といったわけでもありますまい、オホホホ。この雲仙にも、温泉でみがかれた玉の肌の女がおりますわよ――それに高い山の上ですもの霞をのんで生きているような美しい仙女ですよ。およし遊ばせ。ほんとの美人はこのような仙境に、がいしておるものですわ、オホホホ。お買物ですって駄目! 駄目! 日本語ではなんにも買えませんよ、タクシー、とんでもない、およし遊ばせったら、悪いことは申しあげませんよ。私は佐世保にいったことはありませんが、お客様がそのように申しているのを聞いたばかりなのですよ。およし遊ばせったら、およし遊ばせ。
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