ろか、後が「イヤーあな」気持になつてしまふ。
 節ちやんはこれを評して「本によまれちやふのね」といつた。さうかもしれない。そこへ行くと童話はいゝよ。よんだつて、いくらよんだつて、いやな気持にはならない。お伽話もいゝな。よんだあとがとてもいゝ気持だもの。
 だけど私だつて赤んぼぢやないから、そんなのばつかしよんでるんじやないのよ。私の好きな本をあげれば、第一に「君たち」それから「人類の進歩」。「日本世界名作選」の中の二、三をのぞいて「小公子」。「善太と三平」。「トルストイ童話集」。よまないけど『愛の一家』の類。それから――あとは、歴史や地理に関したもの、それ位。「これからの青年」なんかもとつても好きだつた。「青い鳥」。「フランダースの犬」も。
 一体、私にはどんなのがいゝのかしら。自分でもわかんなくなつちやつた。けれど、私は正直のところ、小説が毛虫の様にきらひなのじやない、決して。さうかと云つても好きなのではない。要するに物好きなのだらうと思ふ。のぞいてみたい気もする。そして、公然と許されてゐる本でも内しよで悪いことをするみたいにビクビクしながらよんでみる。
 よんでみてから、フーツと溜
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