余興
森鴎外
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)亀清《かめせい》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|識《し》らぬ顔
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)裸※[#「ころもへん+呈」、第3水準1−91−75]《らてい》に
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同郷人の懇親会があると云うので、久し振りに柳橋の亀清《かめせい》に往った。
暑い日の夕方である。門から玄関までの間に敷き詰めた御影石《みかげいし》の上には、一面の打水がしてあって、門の内外には人力車がもうきっしり置き列《なら》べてある。車夫は白い肌衣《はだぎ》一枚のもあれば、上半身全く裸※[#「ころもへん+呈」、第3水準1−91−75]《らてい》にしているのもある。手拭《てぬぐい》で体を拭《ふ》いて絞っているのを見れば、汗はざっと音を立てて地上に灑《そそ》ぐ。自動車は門外の向側に停めてあって技手は襟《えり》をくつろげて扇をばたばた使っている。
玄関で二三人の客と落ち合った。白のジャケツやら湯帷子《ゆかた》
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