大抵日業の継続から悲壮的《トラーギシユ》の結末を示し――昼間氷※[#「革+華」、第4水準2−92−10]の戯をなし夕にもこれを夢み遂に僵る――
醒める時には筋肉の劇動をし又は叫喚す、夜夢は日間神経の刺衝興奮に継ぐ――火災の後に烟火の昇るを、点竄をなす後に難符号の出るを、聴楽の後に音響を夢みる――飲酒はこれを促す、朝夢は安眠の間に貧血になつて居たのが充血するの結果、その充血の少ない時には後で僅に夢を見たと思ふのみ、充血が多ければこれを記憶す、凡そ夢の中で面白いのは朝夢で平生忘れて仕舞た瑣末な事が思ひも掛けず浮き出し様々に変化せられ[#「平生忘れて仕舞た瑣末な事が思ひも掛けず浮き出し様々に変化せられ」に傍点]、敷衍せられ[#「敷衍せられ」に傍点]、走馬燈の如く[#「走馬燈の如く」に傍点]、劇部の場面の如く[#「劇部の場面の如く」に傍点]、時間も空間も放縦自在となり[#「時間も空間も放縦自在となり」に傍点]、頃刻の間に数十年の事を瞥見するは独り邯鄲の枕に依る計りではなし[#「頃刻の間に数十年の事を瞥見するは独り邯鄲の枕に依る計りではなし」に傍点]、
次にネルソン[#「ネルソン」に傍線]は夢
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