てゐる所がある。あそこなんぞを飴玉にしたら、さぞ面白からう。日本固有の物で、ふさはしいものにして書けと云ふ教であるが、予なんぞは努めて日本固有の物を避けて、特殊の感じを出さうとしてゐる。それもふさはしい物ならまだしもである。日本固有の物にして、しかもふさはしくないと來てはたまらない。
 此二三日の暑さは非常である。何一つ纏まつた物は書けない。そこへ來て書け/\と責められて、こんなくだらぬ物を書いた。どうぞ惡しからず。



底本:「鴎外全集 第二十六卷」岩波書店
   1973(昭和48)年12月22日発行
底本の親本:「現代二十名家文章作法講話」東京萬卷堂
   1914(大正3)年12月発行
初出:「現代二十名家文章作法講話」東京萬卷堂
   1914(大正3)年12月発行
入力:岩澤秀紀
校正:染川隆俊
2009年10月14日作成
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