當流比較言語學
森林太郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)何故《なぜ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#二の字点、1−2−22]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)よく/\

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔sittliche Entru:stung〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://www.aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−

 或る國民には或る詞が闕けてゐる。
 何故《なぜ》闕けてゐるかと思つて、よく/\考へて見ると、それは或る感情が闕けてゐるからである。
 手近い處で言つて見ると、獨逸語に Streber といふ詞がある。動詞の streben は素と體《からだ》で無理な運動をするやうな心持の語であつたさうだ。それからもがくやうな心持の語になつた。今では總て抗抵を排して前進する義になつてゐる。努力す
次へ
全9ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング