ふべき米を得ることが出来ない。そして富家と米商とが其資本を運転して、買占其他の策を施し、貧民の膏血を涸《か》らして自ら肥えるのを見てゐる。彼等はこれに処するにどう云ふ方法を以てして好いか知らない。彼等は未だ醒覚してゐない。唯盲目な暴力を以て富家と米商とに反抗するのである。
平八郎は極言すれば米屋こはしの雄である。天明に於いても、天保に於いても、米屋こはしは大阪から始まつた。平八郎が大阪の人であるのは、決して偶然ではない。
平八郎は哲学者である。併しその良知の哲学からは、頼もしい社会政策も生れず、恐ろしい社会主義も出なかつたのである。
――――――――――――――――――――[#直線は中央に配置]
平八郎が陰謀の与党は養子格之助、叔父宮脇志摩を除く外、殆皆門人である。それ以外には家塾の賄方《まかなひかた》、格之助の若党、中間《ちゆうげん》、瀬田済之助の若党、中間、大工が一人、猟師が一人ゐる位のものである。橋本忠兵衛は平八郎の妾の義兄、格之助の妾の実父であるが、これも同時に門人になつてゐた。
暴動の翌年天保九年八月二十一日の裁決によつて、磔に処せられた二十人は左の通である。
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