大塩平八郎
森鴎外

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)天保《てんぱう》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)八年|丁酉《ひのととり》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)[#「りっしんべん+(はこがまえ+夾)」、第3水準1−84−56、164−11]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)やう/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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   一、西町奉行所

 天保《てんぱう》八年|丁酉《ひのととり》の歳《とし》二月十九日の暁方《あけがた》七つ時《どき》に、大阪|西町奉行所《にしまちぶぎやうしよ》の門を敲《たゝ》くものがある。西町奉行所と云ふのは、大阪城の大手《おほて》の方角から、内本町通《うちほんまちどほり》を西へ行つて、本町橋《ほんまちばし》に掛からうとする北側にあつた。此頃はもう四年前から引き続いての飢饉《ききん》で、やれ盗人《ぬすびと》、やれ行倒《ゆきだふれ》と、夜中《やちゆう》も用
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