Aおん身自ら推し給へといひぬ。
われはマリア[#「マリア」に傍線]と贄卓《にへづくゑ》の前に手を握りぬ。おほよそ市長《ボデスタ》の家にゆきかふものは、皆歡喜の聲を發しつれど、其聲の最も大いなるはポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]なりき。越ゆること二日にして、我等はロオザ[#「ロオザ」に傍線]と倶《とも》に田舍の別墅《べつしよ》に移りぬ。こはアンジエロ[#「アンジエロ」に傍線]が遺産もて買ひしものなりき。ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]は一書を我別墅に寄せて、飄然としてヱネチア[#「ヱネチア」に二重傍線]を去りぬ。その書には、唯だ左の數句あるのみなりき。曰く、我は汝と賭して贏《か》ちたり、されど實《まこと》に贏ちしは我に非ざりきと。憐むべし、ポツジヨ[#「ポツジヨ」に傍線]が意中の人は即亦我意中の人なりしなり。
フアビアニ[#「フアビアニ」に傍線]公子とフランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]夫人とは、わが好き妻を得しを喜び、かの腹黒きハツバス・ダアダア[#「ハツバス・ダアダア」に傍線]さへ皺ある面に笑《ゑみ》を湛《たゝ》へて、我新婚を祝したり。わが昔の知人《しるひと》の僅に生き殘
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