艪ェ拿破里に往くことを得しは、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の惠なりしなり。拿破里の旅店より書を寄せて、相見んことを求めしはアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]にしてサンタ[#「サンタ」に傍線]にはあらざりしなり。その恩情|窮《きはまり》なきアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]は今や亡き人となりしなり。さるにてもアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]はマリア[#「マリア」に傍線]を病床に招き寄せて、いかなる事を物語りし。既にマリア[#「マリア」に傍線]をわがいひなづけの妻といへば、巷説は早くアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の病床に聞え居りて、マリア[#「マリア」に傍線]さへ其口より、さがなき人の言草《ことぐさ》を聞きつるなるべし。再びマリア[#「マリア」に傍線]の面を見んは影護《うしろめた》き限なれども、アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の爲めにも我が爲めにも天使に等しきマリア[#「マリア」に傍線]に、一ことの謝辭を述べずして止まんやうなし。
舟を倩《やと》ひて市長《ボデスタ》の家に往きしに、ロオザ[#「ロオザ」に傍線]とマリア[#「マリア」に傍線]
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