には一の島山《しまやま》ありき。その山の巓はいと高きに、われ等は猶おん身の物思はしげなる面持して石に踞して坐し給ふを見ることを得つ。ララ[#「ララ」に傍線]は翼を振ひて上らんとす。われはこれに從はんとして、羽搖《はたゝき》するごとに後《おく》れ、その距離|千尋《ちひろ》なるべく覺ゆるとき、忽ち又ララ[#「ララ」に傍線]とおん身との我側にあるを見き。われ。そは死の境界《きやうがい》なるべし。生きて千里《ちさと》を隔つるものも、死しては必ず相逢ふ。死は惠深きものにて、我に我が愛するところのものを與ふ。姫。われは遠からず尼寺に歸らんとす。これより後の我生涯は、おん身の爲めには死せると同じ。おん身は能く我を忘れずして、死後相見んことを期し給はんや。姫の此詞はいたく我心を動して、我をして輒《すなは》ち答ふること能はざらしめき。
 ある日フランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]夫人は姫を伴ひてヰルラ、デステ[#「ヰルラ、デステ」に二重傍線]の園の中をそゞろありきし給へり。我も亦許されてその後《しりへ》に從ひぬ。園は高き絲杉あるをもて世に聞えたるところなり。一行の人工の噴泉ある長き街※[#「木
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