ォ起しゝ、唯だ是れ一大|苑囿《ゑんいう》の波上に浮べる如くなり。その水に接する處には許多《あまた》の洞窟あり。その状柱列の迫持《せりもち》を戴けるに似て、波はその門に走り入り、その内にありて戲れ遊べり。突き出でたる巖端《いははな》に城あり、城尖《じやうせん》の邊には、一帶の雲ありて徐《しづ》かに靡き過ぎんとす。我等は大島小島(マユウリイ、ミヌウリイ)を望みて、程なく彼マサニエルロ[#「マサニエルロ」に傍線]とフラヰオ・ジヨオヤ[#「フラヰオ・ジヨオヤ」に傍線]との故郷の緑いろ濃き葡萄丘の間に隱見するを認め得たり。(マサニエルロ[#「マサニエルロ」に傍線]は十七世紀の一揆《いつき》の首領なり。オベエル[#「オベエル」に傍線]が樂曲の主人公たるを以て人口に膾炙《くわいしや》す。フラヰオ・ジヨオヤ[#「フラヰオ・ジヨオヤ」に傍線]は羅針盤を創作せし人なり。)
 伊太利に名どころ多しと雖《いへども》、このアマルフイイ[#「アマルフイイ」に二重傍線]の右に出づるもの少かるべし。われは天下の人のことごとくこれを賞することを得ざるを憾《うらみ》とす。此地は廣袤《くわうばう》幾里の間、四時《しいじ》春
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