F目を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》りて我等を打目守《うちまも》れり。若しわれ等にしてふとその一人の面を見ることあるときは、その手は忽ち賜《たまもの》を受くるがために伸べられ、その口は忽ち「ミゼラビレ」(憐を乞ふ語)を唱へ出すなり。瞽女《ごぜ》はいづち往きけん見えず。われはあはれなる少女の、獨りいかなる道の邊《べ》に蹲《うづくま》り居るかを思ひ遣りぬ。
我等は一の劇場と一の平和神祠との迹《あと》なる斷礎の上を登り行きぬ。ジエンナロ[#「ジエンナロ」に傍線]人々を顧みて、あはれ平和と演劇との二つのもの、いかなればかく迄相親むことを得たるぞと云ふ。(劇場の徒の多く相嫉視するを諷するにや。)我等は海神《ポセイドン》祠《し》の前に立てり。世にはこれを「バジリカ」とぞいふ。近き頃、彼《かの》ポムペイ[#「ポムペイ」に二重傍線]の古市《こし》と同じく、闇黒の裡《うち》より出でゝ人の遺忘を喚び醒《さま》したるものは、此祠と穀神祠《デメエテル》となり。この祠《ほこら》の荊棘《けいきよく》に鎖《とざ》され、土石に埋められたること幾百年ぞ。幸に外國《とつくに》の一畫師ありてこゝを過ぎ
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