舊羈※[#「革+勺」、第3水準1−93−76]《きうきてき》

 アントニオ[#「アントニオ」に傍線]ならずやと呼ぶ聲あり。我に迫りて手を※[#「てへん+參」、97−下段−3]《と》れり。初はわれベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]の己れを認め得たるならんとおもひしが、その面を視るに及びて、そのフアビアニ[#「フアビアニ」に傍線]公子なるを知りぬ。公子はわが昔の恩人の壻《むこ》にして、フランチエスカ[#「フランチエスカ」に傍線]の君の夫なり。我を以て不義の人となし、我に訣絶《けつぜつ》の書を贈れる人の族《うから》なり。公子。こゝにて逢はんとは思ひ掛けざりき。夫人に語らば定めて喜ぶことならん。されどいかなれば夙《はや》く我們《われら》を訪《たづ》ねんとはせざりし。カステラマレ[#「カステラマレ」に二重傍線]に來てより既に八日になりぬ。われ。君達のこゝに在《いま》すべしとは、毫《すこ》しも思ひ掛けざりき。そが上わが伺候を許し給はんや否やだに知らねば。公子。現《げ》にさることありき。おん身は昔にかはる男となりて、婦人のために人と決鬪し、脱走したりとの事なりき。そは我とても好しと
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