黷ヘ囹圄《れいご》の苦を嘗め、懷裡に死を藏して又自由の身となり、波立てる海を隔てゝソルレントオ[#「ソルレントオ」に二重傍線]より拿破里《ナポリ》を望み、また聖《サン》オノフリイ[#「オノフリイ」に二重傍線]寺の※[#「木+解」、第3水準1−86−22]樹《かしのき》の下に坐し、戴冠式の鐘聲カピトリウム[#「カピトリウム」に二重傍線]街頭に起るを聞けり。されど冥使早く至りて其冠をわれに授けつ。是れ不死不滅の冠なりき。思想の急流は我を漂し去りて、我|心跳《しんてう》は常に倍せり。
 最後の一曲はサツフオオ[#「サツフオオ」に傍線]の死を題とす。嫉妬の苦も亦我が自ら味ひたるところなり。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]が痍負《てお》ひたるベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]に吝《おし》まざりし接吻は、今|憶《おも》ふも猶胸焦がる。サツフオオ[#「サツフオオ」に傍線]の美はアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]に似て、その戀情の苦は我に似たり。波濤はこの可憐なる佳人を覆ひ了《をは》んぬ。(十六世紀の伊太利詩人タツソオ[#「タツソオ」に傍線]と前七世紀の希臘《ギリシア》女詩人サツフ
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