Aヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の立てるなり。縱《たと》ひ友を失はんも、彼君のためには惜からじと一たびは思ひぬ。されどつら/\思ひ返せば、友は我に先だちて姫と交を結びぬ。わが姫と相識ることを得しは、全く友の紹介の賜《たまもの》なり。われは友に對して、我が姫に運ぶ情の戀にあらず、藝術上の感歎なるを誓ひたり。ベルナルドオ[#「ベルナルドオ」に傍線]はわが無二の友なり。われは今これを欺かんとす。悔恨の棘は我心を刺せり。されどわれは遂にアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]を忘るゝこと能はず。
アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]を懷ふはアヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]の我に與へたる歡喜を懷ふなり。されどその歡喜をなしゝは昔日の事にして、今これが記念を喚《よ》び起せば、一として悲痛に非ざるものなし。譬へば亡人《なきひと》の肖像の笑へるが如し。その笑はたま/\以て我を泣かしむるに足る。學校にありしころ人の世途の難を説くを聞きては、或課題のむづかしき、或師匠の意地わるきなどに思ひ比べて、我も亦早く其味を知れりといひしことあり。今やその非なるを悟りぬ。われ若し能く此戀に克《か
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