セ》け殘りたる石柱を掩《おほ》へるあり。この間には鬼の欷歔《ききよ》するを聞く。むかしペリクレエス[#「ペリクレエス」に傍線]の世には、この石柱の負へる穹窿の下に、笑ひさゞめく希臘の民往來したりき。そは美の祭を執《と》り行へるなり。ライス[#「ライス」に傍線](名娼の名)の如く美しき婦人は環飾を取りて市に舞ひ、詩人は善と美との不死不滅なるを歌ひぬ。忽ちにして美人は黄土となりぬ。當時の民の目を悦ばしたる形は世の忘るゝ所となりぬ。詩神は瓦礫《ぐわれき》の中に立ちて泣くほどに、人ありて美しき石像を土中より掘り出せり。こは古の巨匠の作れるところにして、大理石の衣を着けて眠りたる女神なり。詩神はこれを見て、さきの希臘の美人の俤《おもかげ》を認めき。あはれ古人が美をかう/″\しき迄に進めて、雪の如き石に印し、これを後昆《こうこん》に遺したるこそ嬉しけれ。見よや、死滅するものは浮世の權勢なり。美いかでか死滅すべき。詩神は又波を踏みて伊太利に渡り、古の帝王の住みつる城址に踞《きよ》して、羅馬の市を見おろしたり。テヱエル[#「テヱエル」に二重傍線]河の黄なる水は昔ながらに流れたり。されどホラチウス・コク
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