ト、最高の「ソプラノ」の聲に移りしときは、人皆物に狂へる如くなりき。姫が輕く艷なる舞は、エトルリア[#「エトルリア」に二重傍線]の瓶《へい》の面なる舞者《まひこ》に似て、その一擧一動一として畫工彫工の好粉本ならぬはなかりき。われはこのすべての技藝を見て姫の天性の發露せるに外ならじとおもひき。アヌンチヤタ[#「アヌンチヤタ」に傍線]がヂド[#「ヂド」に傍線]は妙藝なり、その歌女は美質なり。曲中には間《まゝ》何の縁故もなき曲より取りたる、可笑しき節々を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]《はさ》みたるが、姫が滑稽なる歌ひざまは、その自然ならぬをも自然ならしめき。姫はこれを以て自ら遣り又人に戲るゝ如くなりき。大團圓近づきたるとき、作譜者、これにて好し、場びらきの樂を始めんとて、舞臺の前なるまことの樂人の群に譜を頒《わか》てば、姫もこれに手傳ひたり。樂長のいざとて杖を擧ぐると共に、耳を裂くやうなる怪しき雜音起りぬ。作譜者と姫と、旨《うま》し/\と叫びて掌を拍《う》てば、觀客も亦これに和したり。笑聲は殆ど樂聲を覆へり。我は半ば病めるが如き苦悶を覺えき。姫の姿は
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