」の巨鐘は響き渡りて、全都の民を呼び出せり。我は急ぎ歸りて、かの状師《だいげんにん》の服に着換へ、再び街に出でしに、假裝の群は早く我を邀《むか》へて目禮す。この群は祭の間のみ王侯に同じき權利を得たる工人と見えたり。その假裝には價極めて卑《ひく》きものを揀《えら》びたれど、その特色は奪ふべからず。常の衣の上に粗※[#「栲」のおいがしらの下が「丁」、第4水準2−14−59]《あらたへ》の汗衫《じゆばん》を被りたるが、その衫《さん》の上に縫附けたる檸檬《リモネ》の殼《から》は大いなる鈕《ぼたん》に擬《まが》へたるなり。肩と※[#「革+華」、第4水準2−92−10]《くつ》とには青菜を結びつけたり。頭に戴けるは「フイノツキイ」(俗曲中にて無遠慮なる公民を代表したる役なり)の假髮《かづら》にて、目に懸けたるは柚子《みかん》の皮を刳《く》りぬきて作りし眼鏡なり。我は彼等に對《むか》ひて立ち、手に持ちたる刑法の卷を開きてさし示し、見よ、分を踰《こ》えたる衣服の奢《おごり》は國法の許さゞるところなるぞ、我が告發せん折に臍《ほぞ》を噬《か》む悔あらんと喝《かつ》したり。工人は拍手せり。我は進みてコルソ
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