uテヱエル」に二重傍線]河の東岸に當れる羅馬の一部を謂ふ)に渡らんこと思ひも掛けざりき。かゝれば我がことしの祭に身を委《ゆだ》ねて、兒どもの樣なる物狂ほしき振舞せしも、無理ならぬ事ならん。唯だ怪しきは此祭我生涯の境遇を一變するに至りしことなり。されどこれも我がむかし蒔きて、久しく忘れ居たりし種の、今緑なる蔓草《つるくさ》となりて、わが命の木に纏《まと》へるなるべし。
 祭は全く我心を奪ひき。朝《あした》にはポヽロ[#「ポヽロ」に二重傍線]の廣こうぢに出でゝ、競馬の準備《こゝろがまへ》を觀、夕にはコルソオ[#「コルソオ」に二重傍線]の大道をゆきかへりて、店々の窓に曝《さら》せる假粧《けしやう》の衣類を閲《けみ》しつ。我は可笑しき振舞せんに宜《よろ》しからんとおもへば、状師《だいげんにん》の服を借りて歸りぬ。これを衣《き》て云ふべきこと爲すべきことの心にかゝりて、其夜は殆《ほとほ》と眠らざりき。
 明日《あす》の祭は特《こと》に尊きものゝ如く思はれぬ。我喜は兒童の喜に遜《ゆづ》らざりき。横街といふ横街には「コンフエツチイ」の丸《たま》賣る浮鋪《とこみせ》簷《のき》を列べて、その卓の上には美
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